「紙のような描き心地」に憧れ、ペーパーライクフィルムを2度試したものの、結局元のアンチグレアフィルムに戻した私のお絵かき環境について書こうと思います。
ペーパーライクフィルムへの憧れ
デジタルでのお絵かきはとても便利だけど、どうも滑って書きづらい。
板タブレットだった頃はコピー用紙を貼り付けて解決していたものです。
しかし今は液タブやタブレットPC。画面に紙を貼り付けるわけにはいかない。
そこでペーパーライクフィルムという、ザラザラした透明フィルムを貼って描き味を紙に近づける、という手法が現在の主流と思います。
かくいう私も、
「デジタルの便利さ + アナログの描きやすさ を同時に満たせるのなら最強では? もしかしたら描きやすくなることで絵が上手くなるのでは???」
という下心のもと、少なからずペーパーライクフィルムへの憧れがあるわけです。
お絵かき環境 と 描く人について
Surface pro 7 + Surface ペン
Surface pro 3 からの乗り換えで、シリーズ2代目。(3はタッチが反応しなくなり買い替えとなりました。)
手袋無しで描いても誤タッチしにくく、スタンド付きで文章を書く作業もしやすいので気に入っています。
スペックもお絵かきに問題なし。旅行先でも絵が描ける!ただし、かなり高額。
「持ち歩かない」とか、「お絵かきだけを求める」ならデスクトップPC+液タブの方がコスパがいいと思います。
iPadとの違いは、WindowsOSが乗っているのでカスタマイズしやすいこと、手持ちのデスクトップPCと連携しやすいこと。
あともう一つ残念仕様がありますが、後ほど書きます。
- 筆圧 中~強め(自己診断)
- 毎日長時間描くわけではない
- アナログのイラスト、漫画作成経験あり
筆圧は普通~集中すると力が入ってしまう感じです。
現状はイラストの仕事をしていないので、本業の合間に趣味絵として描く程度で、描かない日もあります。
アナログ → スキャン&デジタル → 完全デジタルに移行 というような歴で、幼少期を含めるとアナログのほうが少し長いかも?
ペーパーライクフィルム導入の記録
導入して挫折し、貼って少ししか経っていないフィルムを泣く泣く剥がし、それでも懲りずにもう一度導入してやっぱり駄目だった記録です。
最初の導入。ワクワク感でいっぱい!
使ったフィルム
PDA工房さんのフィルムは、先代機のときも使っており信頼があったため選びました。
- 手触りさらさら!
- 確かにペンが滑らない
もともとアンチグレア(光沢がないタイプ)のフィルムが好きなので、さらさらの手触り感はとても良かったです。無駄に画面をなでたくなる。
気になる描き心地は、確かに摩擦が増えていて、画面に描くとき特有のスーッみたいな上滑り感が軽減されています。
ただし”紙”かと言われるとそうでもなく、アナログで描くのとはやはり別物だと思います。
- 引っかかりのガリガリ感がすごい
- 広い範囲の消し・塗りのときに疲れる
- 黒い粉が出るくらいペンが削れる
ちょっと摩擦が増えすぎていて、紙というよりは目の細かめな紙やすりの上で描いている感覚。
線画などの繊細な作業にはペンの扱いがしやすくなって良いのですが、消すときや塗るときの広範囲作業では逆効果になってしまいました。
それでも使っているうちに慣れてくるはず…としばらく描いていたところ、フィルムの上に黒い粉がついていることを発見。
あれ?まさかこれはペンが削れている…?いやそんなまさか、ただのホコリか何かだ。
と、使い続けていると
1ヶ月でこうなりました。
毎日長時間書いているわけではないのにこの減り。人によっては1日でこうなる場合もあるのではないでしょうか。これはちょっと厳しい。
ペン先が削れたら交換すればいいじゃないか。と思う方もいらっしゃると思います。
しかし、簡単にペン先を交換しづらいSurfaceペンの クソ 残念な仕様があって、私はペーパーライクフィルムを断念しました。
Surfaceペン の ペン先の替えの悪い点は
- Wacomなどと比べてかなり高価
- 3種のセット販売のみで単品売りはなし
この2点。
Surfaceペンは 2H, HB, B という3種類の材質が異なるペン先が用意されており、2Hは硬く摩擦が少なめ、HBは中間、Bは柔らかく摩擦が多め となっています。
(昔はHもありましたが、なぜか無くなってしまいました。Hが一番良かった…。)
このペン先は定価で3本入り2640円(2020.12.14現在)。つまり1本880円。
この時点で結構な高さですが、さらにこのセットは必ず2H, HB, Bの3種類が含まれ、バラ売りや2H×3などの単種セットはありません。
つまり1種類しか必要でない人は、実質1本2640円の替え芯です。シンジラレナーイ。
この売り方はSurfacePro3を使っていた5年前から変更されていないので、今後改善される望みは薄いのではないかと思います。
サードパーティ製も私が見た限りではあまり種類がなく、素材が特殊なペン先のようで自作も簡単ではなさそう。
Surfaceはとても良いPCだと思いますが、本体が高いことと、ペン先の売り方がよろしくないことがとても残念な点です。値段はともかくペン先販売方法はまったく理解できない…。
公式がお絵かき用途でもオススメしているのだから、せめて単種セットの販売はして欲しいところ。
そんなわけで、ペーパーライクフィルム生活は1ヶ月で幕を閉じることとなりました。
1度目のペーパーライクフィルム断念から約1年。
なんとなくイラストの伸び悩みを感じ、お絵かきソフトのペン素材を探してはとっかえひっかえする日々。
そんなときにAmazonで「ペン先摩耗低減」というフィルムを見つけてしまったのが始まり。2度めの挑戦です
使ったフィルム
ペン先摩耗低減は他にもありましたが、貼り付け失敗時に再送してくれるという謳い文句に惹かれて決定。失敗しなかったんですけどね!
- 手触りさらさら!(2回目)
- ほどよい引っ掛かりでガリガリ感がない
- だいぶ紙に近い感触
やはりさらさらで良い手触りです。
摩耗低減というのは伊達じゃなく、ペン先が削れて黒い粉が出ることもなくなっています。
前回は紙とは言い難い感触でしたが、ザラザラ感が少なくなって程よい摩擦になり、より理想の感触になりました。
- ペン先はやはり削れる
1回目よりはすごく改善されましたが、やはりペン先が全く削れないということはなく、2ヶ月弱使用した時点で描き味が変わってきました。
全く削れないことは求めていないですが、前述の通りSurfaceペンのコスパがすごく悪いので、せめて半年、理想は1年ほど持ってほしいのですがどうやら無理そうです。
ここからは悪あがきと、やはり断念に至った経緯を。
実はSurfaceペンは3個めでして、バージョン違いを2つ持っています。
旧バージョンにはペン先の替えセット(2H, H, HB, B)が付いており、これまでHや2Hのみ使ってきたので、ペンに予め装備されていたのも併せてHBやBは大量に余っています。
2Hはもう余分がないけれど、HBやBの余っているペン先が使えれば、しばらくはペーパーライクフィルムを楽しめるのでは?
それに、HBやBはペン先が違う素材だしもしかしたら2Hより削れないかもしれない!(※未検証です)
そう思い、いつも使っている2H芯からHB芯に変更してみました。レッツトライ!
さてどうなったか?
- ぬめっとした描き心地。特に抜きの部分の摩擦を感じる。でも慣れたら大丈夫そう
- 今まで意識していなかったジッター問題が顕著に現れる
描き心地は2Hのさらさら感と比べると、なんというか”ぬめっ”としています。
けして悪くはなく、抜き部分の摩擦力が高いのでペンさばきが安定するような気すらしていて、慣れたらこれはこれで…と思っていました。
が!HBの芯をしばらく使って気付いたこと。どうも線が一発で決まらない。
線を一発でキレイに引けるタイプではないので今までも書き直しは発生していましたが、それにしたってアンドゥする頻度が高くなっている気がする。
手ブレ補正を高くしてもあまり変わらず、少し調べてみたところ液タブやタブレットPCにはジッター問題というものがあることに行き当たりました。
私もあまり理解していないので詳細の説明は省きますが、機械の仕様でゆっくり描いた斜め線がよれよれになってしまう現象。Surfaceだけではなく、多くのタブレットで抱えている問題のようです。
つまり
→ ぬめっとした描き心地
→ 必然的に線を引くのがゆっくりになる
→ ジッターで線がよれる
oh….
描き味追求のためにペーパーライクフィルムにしたのに、ジッターに悩まされては本末転倒。
かといって2H芯を使うにしても、削れるのを気にして気持ちよく描けなさそう。
そんなわけで、再びペーパーライクフィルムとの別れとなりました。
▼どのくらい線がよれるかをテストしたときの画像をまとめてみたので、よければご参考まで。
アンチグレアフィルムへの出戻り
さて、紆余曲折して戻ってくるのはアンチグレアフィルム。
映り込みしないし指紋も目立ちづらいので、スマホもアンチグレアフィルム派です。
購入したSurfacePro7用フィルムを記載しておきます。
1回目の出戻り
2回目の出戻り
【まとめ】ペーパーライクフィルムに合わないかもしれない人
長々描いてきましたが、ペーパーライクフィルムには良い評判も多いし、筆圧やお絵かきのスタイルで合う合わないも変わってくると思います。
なので、このページのお話はいち体験談として捉えていただけると幸いです。
ですが、今回の体験を踏まえ「ペーパーライクフィルムに合わないかもしれない」の人をまとめると
- ペン先を容易に交換できない環境の人
- ペン先は程度の差はあれどうしても削れるため
- ジッターが出る環境の人
- 摩擦が強くなることで、ジッターが出やすくなることがある
といった感じでしょうか。
お金に余裕があれば、一度思い切って試してみるのもよいかと思います。
おわりに
2度敗北した私ではありますが、まだペーパーライクフィルムには夢を持っていたりします。
きっといつか摩耗しないペン先と、ジッターの起こらない機体が出るはずなんだ!
そのときになったら3度目の挑戦をしたいと思います。
あとMicrosoftさんはSurfaceペンの替え芯を安価にして種類別で売ってくださいね!マジで!